毎年4月中旬に開催される鎌倉まつりの最終日には、流鏑馬(やぶさめ)神事が奉納されます。
流鏑馬は、疾走する馬上から鏑矢を放ち的を射る弓術の一つ。馳せる(疾走する)馬上から矢を射ることから、「矢馳せ馬(やばせうま)」と呼ばれ、時がたつについれ「やぶさめ」と呼ばれるようになったといわれています。流鏑馬には2種類あり、鎌倉まつりの最終日には「武田流流鏑馬」が奉納されますが、9月の例大祭の最終日には「小笠原流流鏑馬」が奉納されます。直線140間(約254m)の馬場に的を3個並べて騎乗して的を射ます。
馬場では、まず的を射らず全力疾走させる「素馳」(すばせ)が行われ、馬の足慣らしをします。
的は「式の的」と、ひとまわり小さい「板小的」。的の後ろには四季の花が添えられます。
見所はやはり騎上から的を射る「奉射」。まずは「式の的」から。正方形の白い的に緑・黄色・赤・黒の鮮やかな的の絵が描かれています。
2順目は「式の的」からふたまわりほど小さい「板小的」。
さらに「奉射」の中から成績のよかった者が選ばれ、さらに小さな的を射る「競射」がおこなわれます。
「競射」の的は「土器三寸の的」。土器を二枚を合わせて、中に五色の切り紙を入れて張り合わせたもので、 命中すると土器が砕け花吹雪のように舞い散ります。
3寸は約10cmですから、その小さな的を全速力で疾走する騎上から射るのですから、難しいことこの上ありません。が、みごと命中!まったく当たらない年もあるそうです。
「競射」を終えると、一番的中した人が式の的をもって奉行の前に座し、奉行は扇を開いて骨の間から検分する。
その後、太鼓を三打、「エイ・エイ・エイ オーッ」を唱和します。この儀式には、流鏑馬そのものが、世の邪悪退治も意味しているため、退治した邪悪の「首実験」の意味も込められています。
競射の小さな的を見事三的とも射止めた人も出た今年の流鏑馬、どうか震災の邪悪を払い、平安の世をもたらしてくれますように。
疾走する馬から射る弓矢の迫力は一見の価値あり! 鎌倉まつり 流鏑馬
